着付けの「装飾小物」
こんにちは。
オーナーの美幸です。
着付けは着物や帯の他にたくさんの付属品があり準備も大変ですよね。
「ホントにこんなに必要なの??」って思うことありませんか?
着物には「装飾小物」と「着付け小物」がありますが、このブログでは「装飾小物」の中から4種についてお勉強してみたいと思います。
その一 半衿(襟)
※ 写真は半衿を付けているところ
半衿は衿元が汚れないように襦袢の衿につけて使用します。着付けを依頼した時に、半衿を付けてきてくださいと言われたことがある方も多いのではないでしょうか?半衿を付けるには、襦袢の衿部分に縫い付けるか、今は専用の両面テープも市販されています。
実は、着物に半衿がないというのは、ブラウス無しでジャケットを着るようなものだという人もいるくらい大切なものです。
汚れを防止する意味でも大切な半衿ですが、今は柄や刺繍などがデザインされた装飾性の高い半衿も人気があり、襟元から覗く半衿は、着姿の印象を変える装飾的なアイテムとしての役割も大きいのです。
半衿はフォーマルの席では白が基本、準礼装としては白×金のものも用いられます。カジュアルシーンでは色や刺しゅう、素材など、個性豊かな半襟で上品にもモダンにも大きく印象を変えることができます。
半衿の歴史は 安土桃山時代からといわれており、元々は汚れ防止としての役割のため、黒色などの汚れが目立たないものが使われていました。当時はあくまでも汚れ止めであり、お洒落として用いられるようになったのは比較的最近のことのようです。
その二 帯揚げ
※ 写真はさまざまな色や素材の帯揚げ
帯揚げは、着付けの際に使う帯枕やその紐などを隠し、胸元を飾るために使う細長い布のことです。
帯枕を包んで帯の形を立体的に整える役目がありますが、現代では胸元部分の帯から少し見せて、帯や着物に合わせてコーディネートするため、色や素材、デザインも多く、装飾小物として位置づけられています。
帯揚げに厳格な決まりはありませんが、フォーマルな席では白や薄い色を選ぶと良く、カジュアルな場合は色鮮やかなものを楽しむなど、使い分けをすると良いでしょう。
帯揚げの登場は江戸時代末期、深川芸者によって「太鼓結び」が発案された頃といわれ、一般に普及しはじめたのは、「太鼓結び」が流行し始めた明治10年頃とされています。当時は基本的に帯枕を隠して重くなった帯を支えるために使われ、装飾的な役割はもう少し後になってからですが、現在も「太鼓結び」や「ふくら雀」などの帯結びには欠かせないアイテムです。
その三 帯締め
※ 写真はハートの装飾結びをした帯締め
帯締めはその多くが伝統的な組紐の技法で作られた紐で、最後に帯の上から中央を締める装飾小物です。
帯締めの役割は帯を押さえて着付けを整えることに加え、帯の中央でとても目立つことから装飾的な意味も大きいといえます。
帯締めにも様々な色や素材のものがあり、帯や着物の色に合わせてコーディネートすることでアクセントとしてさまざまな表情を楽しむことができます。
実は帯締めにも格式があり、フォーマルには格式高い平組や丸組、普段着や訪問着には角組やレース組を合わせるなど、シーンによって使い分けるのが一般的です。
帯締めの歴史は所説ありますが、奈良時代の武家や公家から始まったとも、江戸時代に歌舞伎役者が衣裳の着崩れを防止するために締めた紐がルーツだとも言われています。当初は綿を詰めた丸ぐけ紐が使われていましたが、後に「太鼓結び」の普及とともに組紐が主流となってきたようです。
その四 帯留
※ 写真は花のモチーフの帯留
帯留は元々帯締めと共に帯を押さえる目的で使用されていました。現代ではどちらかというとおしゃれ小物という位置づけで、木彫りやビーズ、七宝、琥珀、貴金属、宝石などの幅広い素材やデザインのものがあり、着物姿に華やかさを添えてくれます。
「帯留」は茶器などを傷つけないために、フォーマルな席ではNGというイメージがありますが、婚礼などの華やかな席では宝飾品やジュエリーとして上手に取り入れても素敵です。
帯留の登場は江戸時代後期頃といわれ、帯を固定するための留め金具として誕生し、それが現在の装飾的な帯留へと発展したといわれています。幕末~明治初期頃には廃刀令によって、刀の装具を帯留めに作りかえることが流行し、一般にも普及したようです。
さいごに
装飾小物には汚れを防止する、帯枕や紐を隠す、帯を押さえるなどの役割がそれぞれありますが、今はおしゃれのアイテムの一つとして、フォーマルにも、カジュアルにも、クラシカルにも、モダンにも、TPOや印象づけたいイメージに合わせてコーディネートできます。また比較的安価で取り入れやすいものも多く、挑戦しやすいアイテムです。
装飾小物でお洒落を楽しむことができれば、もっと着物の可能性がひろがりますよ。